トリガーポイント鍼療法に適したディスポ鍼とは・・・・

患者さんにとってはあまり関係ないネタだと思いますが、今回は治療に使っている鍼について僕なりの考え方をひとつ。
仕事に使う道具についてはそれぞれ鍼灸師さんごとにこだわりがあると思います。
『S社の鍼がいい』とか『ステンレスより銀がいい』とか、そのこだわりは様々でしょう。
治療のスタイルや症状によっても使う道具は変わって当然なので、ここでは『トリガーポイント鍼療法』に限ったあくまで僕の個人的な意見ですので悪しからず。
若い鍼灸師さんがこれを読んで道具選びの参考にでもしてもらえればと思って書きます。
こんな事を言いはじめると、鍼について面倒くさいぐらいのこだわりを持っているのかと思う方もおられるかもしれませんが、むしろ数年前までは『ディスポ鍼(使い捨て鍼)ならなんでもいい』と思っていました(笑)
ただ当時から、トリガーポイント鍼療法は使う鍼の本数が多くなる傾向があるので、コストを気にして本数を抑えるようになると治療効果に悪影響が出ると考えていたので、とにかく安くて品質の安定した商品を探して使っていました。
今まではY社の鍼をメインに使っていたのですが、K社から新しいディスポ鍼が発売になった時に試しに使った際、あまりの使用感の違いに困惑し、コストばかりを重視していた鍼選びを見直すきっかけになったのです。
『番手選びのジレンマ』
トリガーポイント鍼療法に適した鍼とはどんなものでしょう?
まずは鍼管が細いこと。斜角筋や母指内転筋、三角筋のトリガーポイントなど、細い、あるいは固定しにくい硬結ほど鍼管が細い方が刺鍼しやすくなります。
さらに皮膚への接触面(鍼管の切り口)が面取りしてある製品が押手を作った時の不快感が少なくていいですね。
少し話が逸れますが、こんな事を言う人がいます。『鍼はディスポだけど鍼管は手に馴染んだ物を・・・・』
毎回完全滅菌してあるなら構いませんが、使いまわしているようなら衛生面を考えると鍼管も使い捨てであるべきですよね。
次に、先にも書きましたが、価格が安いこと。トリガーポイント鍼療法は多くの鍼を刺したまま10〜20分ほど置いておく場合が多いので、一回の治療でたくさんの鍼を消費します。
僕の場合、多い人だと一回の治療で30本以上消費することも珍しくありません。
材料費が高くなると、その負担は患者さんに治療費として反映されますので、価格が安いという条件は外せません。
これらの条件をクリアした上で、製品ごとの使用感などを比較していったのですが、トリガーポイント刺鍼をする際に考えなければならないことが、使う鍼の『番手(太さと長さ)』です。
鍼の番手によるそれぞれの特徴は以下の通り
●細い鍼(1番ぐらいの細め)は『筋膜』に鍼先が到達した感覚がわかりやすい
●太い鍼(3番ぐらいの太め)はたわみにくいのでイメージした方向に刺入しやすい
番手についてはなるべく細い鍼を使いたいのですが、狙うトリガーポイントによってはずいぶん深い場所にあるので長い鍼が必要になることがあります。長い鍼ほどの太さを太くしないと体内で思わぬ方向に曲がってしまい、狙うポイントに当たりにくくなります。
さらに・・・・
大前提として、トリガーポイントを含む筋硬結を処理するのは太い鍼の方が作用が高い一方で、鍼の痛みや生体への刺激は細い鍼の方が軽いといった判断基準もあります。
この細い鍼を使いたいけど太い鍼じゃないといけないというトリガーポイント鍼療法ならではのジレンマです。
この数年、いろんな製品をあれこれ試してみてついにトリガーポイント鍼療法にベストなディスポ鍼を見つけました(笑)
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『ファロスのA300』
鍼先の良さがウリのディスポ鍼。鍼管は細く切り口は丸みをもたせてあり、価格は僕の基準の中ではギリギリセーフ(笑)
他社のディスポ鍼と比べて何が良いって、刺入する時の抵抗感がすごく軽いです。(あえて『刺入感が良い』と言わないのは、良し悪しは個人的な好みが大きいからです)1つ細い番手の鍼かと思ってしまうほど抵抗感が軽いです。
具体的に言うと、たわみを嫌って2番鍼を使っても、1番鍼を使っているかの如く組織の抵抗が伝わります。
鍼先が良いのか、鍼体の処理が良いのか、鍼柄がアルミで軽いのが良いのか(?)理由はわかりませんが、とにかく刺入抵抗が少ないのはトリガーポイント鍼療法に使うディスポ鍼としては大きなメリットのひとつだと思っています。
実際に臨床で使っている番手は寸3の1番が最も多く、次に寸6の2番をよく使っています。他に寸6の3番と2寸の3番、2寸の5番を治療院に用意しています。
使ったことがない方は一度使ってみてください。
ファロスさん、しっかり宣伝しておきましたよ(笑)

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